国語科
過去を学び、未来を語る。“いま”を生きる国語の時間
相手の思いを知り、自分の心を語る。気持ちという形のないものに形を与える。言葉というのは本当に不思議なものです。ある時は私たちに広大な世界を教え、またある時は虚空に考えを巡らす手がかりとなります。千年前の失恋も、生まれたての恋心も等しく、幾百、幾千の時を経て、未来に語り継がれてゆく。
「国語」とは、言葉を足がかりに、人の思いや行いの重なる地層に触れていく時間と言えるかも知れません。言葉によって様々な時代の様々な人と出会い、繋がることで、自分の新たな世界が拡がっていく。その芳醇な味わいは自ら学ぼうとする主体性の中にあります。楽しむ気持ちを忘れずに「国語」の世界を探究しましょう。
“いま”起きている問題に目を向け、答えのない問いに言葉で立ち向かう(現代の国語)
私たちは生きていく中で日々さまざまな課題に直面します。一人で解決できる課題も中にはありますが、個人の力には限界があります。社会の課題を解決できるようになるには、個人の力を伸ばしつつ、周囲と協力することが必要です。
「現代の国語」では、文章を読んで思考の枠組みを学び、実際の課題に取り組んで思考の柔軟性を養いながら、個人の課題解決力を伸ばしていきます。さらにペアやグループでの活動を通して、協力しながら自分たちの課題に取り組む姿勢を身につけます。
私たちが直面する課題には、答えはありません。時間は戻らないので、自分が導き出した解答が最善かどうかもわかりません。それでも諦めずに考え、最適だと思われる解答を出し続けていくことが、これからの時代を切り拓いていく高校生に求められています。「現代の国語」を通して、これらの力と姿勢を身につけていきましょう。
悠久の時が織りなす言語文化を学び、新たな文化に思いを馳せる(言語文化)
私たちは知らず知らずのうちに過去の経験を活かし、今を生きています。それは私たちが日頃から親しんでいる物語や絵画、演劇やアニメーションにおいても同じです。私たちの文化は急にゼロから生まれることは滅多にありません。様々な先人の残した作品や挑戦の糸に絡むように、新たな作品が織り込まれていく。文化とは悠久の時の流れが生み出す美しい織物のようなものです。
「言語文化」は“いにしえ”の世界と“いま”の世界を繋ぐ、高等学校から始まる新たな教科です。“いにしえ”の扉を開き、日本の古典作品や、古代中国の漢詩文を読みながら、“いま”の世界との違いや繋がりに気づく。現代と異なる文化を生きた先人も、自然を愛でたり、恋に一喜一憂したり、自身の将来に悩んだりしています。先人の残した思いが、変化の激しい現代社会を生き抜くヒントや勇気を我々に与えてくれるかもしれません。
文化は単なる過去の遺産ではありません。“未来”の担い手である私たちが、“いにしえ”を学ぶことで、“いま”を見つめ、よりよい未来、新たな文化を創造することができる。文化の織物に新たな一針を入れるため、先人の紡いだ言語文化を学び、豊かな知性や人間力を養いましょう。
国語科全体の取り組み
- ワールドカフェを用いた発表(夏目漱石『こころ』)…グループごとにテーマを設定し、『こころ』を解釈しました。
- 『平家物語』「壇ノ浦」群読ワーク…クラス一丸となって『平家物語』の世界を再現しました。
- 『源氏物語』調査探究ワーク…話の舞台はどこでしょうか?
様々な情報を使い、場所を特定していきます。
- POPづくり…「本」の魅力を、言葉とイラストで紹介しました。
- 歌合大会…自分でつくった短歌をチーム戦で発表。どの班が皆の心を動かすでしょうか?
- 専大百人一首
【2023年度の入選作】
短歌 | |
---|---|
最優秀 | 右前に帯締め紅塗り下駄鳴らす君の瞳に夏を届けに |
優秀 | どの駅で降りて乗り換え書いたメモお守りにした四月の初め |
二年ぶり小さく感じた祖母の姿まだまだ長く指きりげんまん | |
イヤホンして泣くのを堪え上を向く今日はなんだかすき焼きの気分 | |
佳作 | 雫落ち水面となって交えてくまるで自分を見ている様かな |
五年振り父の実家に帰省して景色変われど匂い変わらず | |
夏の日々後に残るはラムネ瓶思い出残し弾けて消えた | |
あの人のトーク履歴を遡り小さくなったスクロールバー | |
学食を同じものしか頼まないそれはある意味一途なタイプ | |
黄昏に聴きし蝉の音(ね)薫る風散り逝く夏に還る秋かな | |
桜舞いひまわり咲いてもみじ散る雪が降る今一人残され | |
君と僕水面に映る赤面のふと気が付いた互いの気持ち | |
大雪につつまれる僕しんしんと手を繋ぐ君ふわりふわりと | |
あそぼうよいつも君へと呼びかけたオモチャの僕の声は届かず | |
横顔と視線の先につづみ草私の心綿毛も散りゆく | |
たかいたかい父の背に乗り棒振る子幾度目かの春肩並べ | |
藍色に染まる心と宵の空吹く涼風に身体(からだ)任せて | |
炎昼の終わり知らせるひぐらしやもの寂しい暮れカナカナカナと | |
二人きり夕日で顔がオレンジに顔熱い理由ごまかす私 |